臨床環境学の手法を応用した 火山防災における 課題解決の開発

地域防災対策支援研究プロジェクト

プロフィール

臨床環境学の手法を応用した火山防災における課題解決法の開発

課題名

臨床環境学の手法を応用した
火山防災における
課題解決法の開発

地域名

岐阜県、長野県、石川県

団体名称

名古屋大学大学院環境学研究科

代表者名

山岡耕春(名古屋大学・地震火山研究センター)

参画者名

  • 中村秀規(名古屋大学・持続的共発展教育研究センター)
  • 杉下尚(岐阜県 山岳遭難・火山対策室長)
  • 平松良浩(金沢大学・教授)
  • 大見士朗(京都大学・准教授)

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2017年10月31日 御嶽山火山防災 学習会・ワークショップを開催しました


■御嶽山火山防災 学習会・ワークショップ

■日時:2017年10月31日

■場所:岐阜県下呂市 下呂市民会館

■講師:坂本真由美准教授(兵庫県立大学)

 

 本プロジェクトでは、地域が主体となる火山防災を発展させるために、防災行政担当者や火山防災協議会関係者、地域ステークホルダーが、率直な意見交換、課題共有を行う場として、火山防災に関連する講演とグループワーク形式のワークショップを開催してきました。最終年度となる本年度は、火山防災協議会のコアメンバーで、昨年度の地域ステークホルダーを含めた意見交換会で出てきた課題を踏まえて、御嶽山噴火以後の火山防災の課題の振り返りと、今後の活動について意見交換しました。 今回の御嶽山火山防災学習会・ワークショップは、岐阜県下呂市で開催し、行政防災担当者及び土木部局、気象台、警察等の火山防災協議会メンバーの他、御嶽山噴火時に対応された担当者の方にも参加していただきました。参加者数は学習会の一般参加者とあわせて40名でした。

 

 

  

   午前中の学習会では、下呂市の防災会議委員でいらっしゃいます兵庫県立大学阪本真由美先生に、最新の御嶽山噴火についての意識調査の結果を踏まえて「火山災害と風評被害」のテーマで、地域が火山と共生するための方法についてお話いただきました。まず、信濃毎日新聞による御嶽山についての住民意識調査から、御嶽山は地域の活性化に良い影響を及ぼしているが、火山であることは地域に良くない影響があるという意見が多かったことが紹介されました。また、2014年の噴火により観光客が激減し、住民の暮らしに影響を及ぼしていることがわかりました。噴火当時の状況についてもご紹介いただき、地震活動は活発化していたが、いつ噴火するのかは観測・監視情報からだけでは判断が難しく、気象庁・行政・住民のいずれもが直ちに噴火するとは捉えていなかったという状況やあまり報道になかった岐阜県側での避難、救助の状況についてご説明いただきました。次に他の火山地域における火山との共生の取り組みとして、口永良部島の避難対応や有珠山の火山マイスター制度、桜島のビジターセンター等をご紹介いただきました。噴火の被害をできるだけ防ぐためには、地域が中心となって、子供への教育、避難訓練など火山と共生していく仕組みを作り、行政や気象庁は、普段から火山についての情報を提供していくことが大切であるとのことでした。 火山との共生が進んでいる他火山の例と比べて、御嶽山は火口と居住地が遠く、住民よりもむしろ他県からの登山客が被害にあう可能性が高いという難しさがありますが、まず、住民の意識を高める必要性がわかり、御嶽山の火山防災に関わる参加者にとって非常に有意義な講演でした。

 

 

 

  午後の意見交換会では、7-8人ずつの4つのグループに分かれ、御嶽山噴火以後の火山防災の課題の振り返りと、今後の活動について意見交換しました。話し合いの中、御嶽山噴火時の経験として、当時、地震の増加は見られたものの、御嶽山が噴火するとは思っていなかった、噴火時、長野県と岐阜県の連携に手間取ったことなどの話が出てきました。噴火を契機として、また、本プロジェクトのワークショップ等の活動によって、長野、岐阜両県や火山防災協議会の関係機関の間に顔の見える関係が形作られたという意見が多く聞かれました。噴火後、登山届の義務化や、名古屋大学御嶽山観測施設の設置、火山マイスター養成制度の準備等が進んだことが振り返りの中で挙げられました。今後については、御嶽山噴火時の担当者が次第に異動していき、噴火の記憶、経験が引き継がれないのではないかと心配する声が上がっていました。顔の見える関係、率直な意見交換の場を継続するために、訓練や学習会、ワークショップの定期的な実施が必要との意見が多くの参加者から出されました。プロジェクトは本年度で終了しますが、出来る形で、率直な意見交換が可能な「場」を継続したいという意見が大半でした。