背景
- 平成25年3月に中標津町にて暴風雪災害が発生し、5名もの犠牲者が生じた。当日は、発達した低気圧の影響で急激に天候が悪化し、著しく発達した吹雪による視程障害と道路への吹きだまりにより、車の通行が不能になった。
- これまでに経験の無い規模の暴風雪災害を今後防ぎ、安心安全な冬期の生活を確保することは、中標津町やその周辺の地域にとって大きな課題である。
- 中標津町周辺は冬期は広大な雪原が広がり、吹雪危険度が高いことから、空間的(面的)な予測情報が災害防止には有用である。
課題概要
甚大な吹雪災害を防止するため、防災科研の吹雪発生予測システム(面的な吹雪強度分布予測)に基づく新たなシステムを開発し、これまでに経験の無い規模の災害を未然に防ぐような、効果的な雪氷防災対策を自治体において実施できるよう支援する。
吹雪発生予測システムの開発
- 気象、吹雪発生状況等のデータ整理、それによる吹雪発生、発達条件の抽出とモデルへの反映。
- 対象地の地形および吹雪発生条件を組み込んだ吹雪発生予測システム(Ver. 1)の開発。
- 吹雪強度(視程)の面的分布の可視化表示システムの開発。
吹雪発生予測システム(Ver. 1)による情報提供実証試験
- 道路管理者、防災担当者、運営委員会委員を対象として、開発したシステムを用いて吹雪発生予測情報を配信する情報提供実証試験を行う。
- 情報内容や提供方法を随時検討し、吹雪発生予測システム(Ver. 1)の応急的な改良も進める。
雪氷防災対策のための組織形成と普及活動
- 運営委員会により、ユーザーが使いやすいシステムの開発手法を検討する。また地域報告会により、当該システムや普及活動への要望なども抽出する。
見込まれる成果
- 中標津町周辺を対象とした吹雪発生予測システムの活用とそれによる効果的な吹雪対策
- 雪氷防災研究の成果の地域への展開、自治体独自による防災基礎研究成果の有効活用および啓蒙活動を通しての住民の防災意識の向上