統合化地域防災実践支援 Webサービスの構築

独立行政法人 防災科学技術研究所による「統合化地域防災実践支援 Webサービスの構築」のページです。

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【Webサービス実証実験 秋田県秋田市、大仙市】

 2018年2月6日(月)~8日(木)、平成29年度「統合化地域防災実践支援Webサービス」(通称:地域防災Web)において、ヒアリングのなかで指摘された災害時の実際の対応事例として、昨夏の豪雨・水害対応について、秋田県秋田市、大仙市でヒアリングを行いました。

 

 秋田市では、「準備段階から対応初期は防災対策部署の職員だけで対応したのだが、どう考えても人員が足らなかったため、準備段階からオール役所体制がよいと思う」ことや、「マスコミ対策は、第一回目の災対本部会議から、本部室にマスコミ入ってもらって会議を行い、フルオープンで対応したが、昨年の豪雨災害に関しては弊害はなかった」ことや、「市民からの苦情も全て報道側に流したことや次の災害に向けては、災害の記録専門者を用意することが重要であると感じている」ことが語られた。

 

秋田市でのヒアリングの様子

 また、大仙市の災害発生時における介護施設の避難については、「災害発生時における介護施設の避難を成功に導くための事前準備と平時からの取り組み」として、地震工学会Newsletterに以下の記事を掲載していただいたので、その記事を大仙市と介護施設ヒアイングの総まとめとして紹介させていただきます。

 

 昨夏、秋田県大仙市周辺地域に大雨による河川の氾濫が2回(2017年7月、8月)発生した。この水害発生時、入居者が全員避難した大仙市のグループホームや特別養護老人ホームなど3か所の介護施設において、どのような避難が行われたのか。2018年2月初旬にヒアリング調査を実施し、災害時に介護施設の避難を成功に導くための事前準備と平時からの取り組みに何が必要かについて、ここでは、ヒアリングをふまえて地震時にも役立つであろう対応を紹介することとする。

 

水に浸かった介護施設周辺

 まず、事前準備として、避難所までの経路を一つだけでなく、迂回路も含めて考えておく必要があり、そのために避難訓練で実際に避難所までの経路を車両で確認しておくことが有効である。また、避難所の資機材、備品についても確認し、避難所に持参するものは事前に避難時持ち出し品リストを作成しておく。ヒアリングした施設では、避難決定の前に必要物資を車に積み込んで準備をしており、それが迅速な避難に結びついている。避難訓練では単に施設の外に避難するだけでなく、避難所まで行く訓練も重要である。このような避難訓練を実際に行ったことで、災害発生時に確認をとりながらで避難できたという。

 次に、災害に関する情報は、主にラジオ(コミュニティFM)から得られており、東日本大震災でも指摘されたようにコミュニティFMからの情報は災害時に有効であることが確認された。また、災害と災害対応の記録(クロノロジー)があると、今後、職員異動などが生じても、避難のノウハウが具体例として伝承できるとともに、避難行動の改善にも役立つ。大仙市の介護施設では、記録専門者により、災害の記録が非常に正確に詳細に記録されている施設があった。災害の記録は各災害対応者だけが行うのではなく、記録専門者を用意し、記録する必要がある。

 さらに、情報伝達・コミュニケーションについては、平成の大合併で巨大化した地域で、市役所本所(本庁)、支所(支庁)、地域間で情報伝達が行われているが、避難の情報が介護施設が立地する地域に意図どおりに届かないこともあるなど齟齬が生じており、3者間で意思の疎通を平時から図る必要があることが指摘された。一方で、介護施設が地域との交流や協働を平時から行うことで、避難時、避難後にも地域の住民の方々に協力してもらえたことが語られた。平時からの近所の幼稚園との共同イベント等、地域との取り組みが災害時に大いに役立っている。

       

避難所となった中学校体育館の様子

 最後に、大仙市の介護施設は、311をベースとして、さまざまな水害経験をふまえて、水が来る方向、確認する場所、情報を得る手段、事前準備などのノウハウを蓄積し、災害対応を行った。それでも、安全な避難行動の確保や数日間の避難先での福祉支援の継続など困難な状況もあった。地震時の介護施設の避難を成功に導くためのエッセンスは、水害時と共通する部分も多いのではないだろうか。これまでの災害と災害対応から多くを学び、備える必要がある。

 

大仙市市役所

 いただいたご意見は、災害時の対応事例として、今後、Webサービスのコンテンツに反映させ、よりよい地域防災対策に活かしていきたいと考えています。