バナー
課題(1)研究成果活用データベースの構築と公開等の成果
「地域防災対策支援研究プロジェクト」において防災科学技術研究所が担った課題(1)「研究成果活用データベースの構築及び公開等」の成果について以下で公開を行っています。公開されるものは、データーベースシステム本体、投入したコンテンツデータや設定データ、継続運用に関わる提言書、その他運用に関わるドキュメント等です。
システム利用マニュアル
システム利用ユーザー向け
システムにどのような機能があり、何ができるのかを説明するとともに操作方法までを示したマニュアルです。
システム管理者向け
システム管理者向けの、システム設定機能、ユーザーアカウントやコンテンツの管理機能、ログの閲覧機能などを説明したマニュアルです。
コンテンツ収集者向け
地域防災Webでもとめられるコンテンツについて説明し、査読論文からのコンテンツ生成を例として、実際にどのようにコンテンツを作成するか示したマニュアルです。データーベースシステムへ生成したコンテンツを登録する機能についても記しています。
開発したデータベースシステムに関する資料
ユースケース図は本Webシステムに対して誰がどのような機能を利用できるのかをまとめたものであり、
概念モデルはユースケースに関連して扱われる情報の概略を示したものです。
ユースケース図で示した個々のユースケースに対して、利用者と本Webシステムがどのような振る舞いをするのかを具体的に記述したものです。
本Webシステムがどのように振る舞うべきであるかのルールを定義したものです。
画面上に表示する項目や情報取得ロジック、機能の制限事項などが記述されています。
データーベースシステム
PHPソースコードと関連ファイル、およびMysqlダンプファイルからシステムを再現するための手順をまとめたものです。
システムプログラムとダンプファイル
PHPによるシステムプログラム、データベースダンプファイル本体です。 こちらの配布については『フォーム』にてお問い合わせください。
お問い合わせ内容に、「地域防災実践支援Webサービスのシステムプログラムとダンプファイル希望」と記載ください。
→ お問い合わせフォーム
新着情報
地震工学会 地域レジリエンス研究会成果報告会のご案内
地域防災Webについて、2016年より地震工学会の地域レジリエンス研究会(「地域の災害レジリエンスの評価指標開発と政策シミュレーション研究委員会」)で発表させていただいき、その利活用について意見交換させていただきました。この研究会の成果報告会が、2018年5月10日(木)にビジョンセンター田町で開催されます。詳細は、こちらをご覧ください。ご関心がある方は、是非参加ください。
【Webサービス実証実験 秋田県秋田市、大仙市】
2018年2月6日(月)~8日(木)、平成29年度「統合化地域防災実践支援Webサービス」(通称:地域防災Web)において、ヒアリングのなかで指摘された災害時の実際の対応事例として、昨夏の豪雨・水害対応について、秋田県秋田市、大仙市でヒアリングを行いました。
秋田市では、「準備段階から対応初期は防災対策部署の職員だけで対応したのだが、どう考えても人員が足らなかったため、準備段階からオール役所体制がよいと思う」ことや、「マスコミ対策は、第一回目の災対本部会議から、本部室にマスコミ入ってもらって会議を行い、フルオープンで対応したが、昨年の豪雨災害に関しては弊害はなかった」ことや、「市民からの苦情も全て報道側に流したことや次の災害に向けては、災害の記録専門者を用意することが重要であると感じている」ことが語られた。
秋田市でのヒアリングの様子
また、大仙市の災害発生時における介護施設の避難については、「災害発生時における介護施設の避難を成功に導くための事前準備と平時からの取り組み」として、地震工学会Newsletterに以下の記事を掲載していただいたので、その記事を大仙市と介護施設ヒアイングの総まとめとして紹介させていただきます。
昨夏、秋田県大仙市周辺地域に大雨による河川の氾濫が2回(2017年7月、8月)発生した。この水害発生時、入居者が全員避難した大仙市のグループホームや特別養護老人ホームなど3か所の介護施設において、どのような避難が行われたのか。2018年2月初旬にヒアリング調査を実施し、災害時に介護施設の避難を成功に導くための事前準備と平時からの取り組みに何が必要かについて、ここでは、ヒアリングをふまえて地震時にも役立つであろう対応を紹介することとする。
水に浸かった介護施設周辺
まず、事前準備として、避難所までの経路を一つだけでなく、迂回路も含めて考えておく必要があり、そのために避難訓練で実際に避難所までの経路を車両で確認しておくことが有効である。また、避難所の資機材、備品についても確認し、避難所に持参するものは事前に避難時持ち出し品リストを作成しておく。ヒアリングした施設では、避難決定の前に必要物資を車に積み込んで準備をしており、それが迅速な避難に結びついている。避難訓練では単に施設の外に避難するだけでなく、避難所まで行く訓練も重要である。このような避難訓練を実際に行ったことで、災害発生時に確認をとりながらで避難できたという。
次に、災害に関する情報は、主にラジオ(コミュニティFM)から得られており、東日本大震災でも指摘されたようにコミュニティFMからの情報は災害時に有効であることが確認された。また、災害と災害対応の記録(クロノロジー)があると、今後、職員異動などが生じても、避難のノウハウが具体例として伝承できるとともに、避難行動の改善にも役立つ。大仙市の介護施設では、記録専門者により、災害の記録が非常に正確に詳細に記録されている施設があった。災害の記録は各災害対応者だけが行うのではなく、記録専門者を用意し、記録する必要がある。
さらに、情報伝達・コミュニケーションについては、平成の大合併で巨大化した地域で、市役所本所(本庁)、支所(支庁)、地域間で情報伝達が行われているが、避難の情報が介護施設が立地する地域に意図どおりに届かないこともあるなど齟齬が生じており、3者間で意思の疎通を平時から図る必要があることが指摘された。一方で、介護施設が地域との交流や協働を平時から行うことで、避難時、避難後にも地域の住民の方々に協力してもらえたことが語られた。平時からの近所の幼稚園との共同イベント等、地域との取り組みが災害時に大いに役立っている。
避難所となった中学校体育館の様子
最後に、大仙市の介護施設は、311をベースとして、さまざまな水害経験をふまえて、水が来る方向、確認する場所、情報を得る手段、事前準備などのノウハウを蓄積し、災害対応を行った。それでも、安全な避難行動の確保や数日間の避難先での福祉支援の継続など困難な状況もあった。地震時の介護施設の避難を成功に導くためのエッセンスは、水害時と共通する部分も多いのではないだろうか。これまでの災害と災害対応から多くを学び、備える必要がある。
大仙市市役所
いただいたご意見は、災害時の対応事例として、今後、Webサービスのコンテンツに反映させ、よりよい地域防災対策に活かしていきたいと考えています。
【Webサービス実証実験 沖縄県石垣市、那覇市社会福祉協議会、那覇市、北中城村、名護市】
2018年1月29日(月)~2/1(木)、平成29年度「統合化地域防災実践支援Webサービス」(通称:地域防災Web)に対するご意見等を沖縄県石垣市、那覇市社会福祉協議会、那覇市、北中城村、名護市で伺いました。
沖縄県石垣市、那覇市社会福祉協議会、那覇市、北中城村、名護市では、地域防災Web、および地域防災対策支援研究プロジェクトに対して、以下のご意見をいただきました。
石垣市では、石垣を含め南西諸島は台風と地震・津波の危険性が高い地域であるが、地震観測網などがとても手薄に見えること。台風は予測進路が分かるようになってきているが、津波などは発生すると短時間で市街地に到達する可能性があるため、東北沖、紀伊半島沖みたいに南西諸島にも海底地震計など設置いただき、津波予測などもできるようになれば有効だと考えていることや、近年、海外からの観光客が多く、観光防災の手法や事例があると参考にできるので整備してほしいなどのご意見をいただきました。
石垣市役所
石垣市役所でのヒアリングの様子
那覇市では、観光地は危機管理のやりかたで評判や風評に繋がるため、しっかり体制を強化したいと考えている。観光防災についてのコンテンツを整備してほしいこと、北中城村では、他の自治体の防災部門の体制や実施施策が網羅的にわかると「うちでもやらなければいけません」といった内部提案につなげやすいので、そのような情報やコンテンツがあるとありがたいことなどのご意見をいただきました。
那覇市役所
那覇市役所でのヒアリング
名護市では、各自治体の防災部門が「何人でどういうチーム分けで、災害時に、平時に、だれとどんな施策をどれくらいの予算で、だれを対象にやっているのか」といった情報がわかると、自自治体で不足している人員や体制、とりくみがわかるのではないか。つまり、周りと比較して自分たちの弱点や強みを見つけることが可能になると思うことが語られました。
名護市役所でのヒアリングの様子
また、那覇市社会福祉協議会では、社会福祉協議会は地域福祉計画を根拠として動くので、その計画内で、どのようなノウハウで個人情報の壁をクリアしているのかなどは、全国の社協で共有できたら大変有効であると感じている。災害時要援護者名簿から、個別プランに進むようなとりくみで個人情報の壁が乗り越えられるようなノウハウなどもほしいなどのご意見をいただきました。
那覇市総合福祉センター
那覇市社会福祉協議会でのヒアリングの様子
いただいたご意見は、可能な限りWebサービスに反映させ、より使いやすいサービス、よりよい地域防災対策に活かしていきたいと考えています。
概要・目的
概要
本課題は、文部科学省「地域防災対策支援研究プロジェクト」として、2つの課題のうち、①研究成果活用データベースの構築及び公開等、に該当し、②研究成果活用の促進、と連携しながら分野や立場を超えた地域防災対策の実現を支援するWebサービスを構築する。
目的
全国の大学等における理学・工学・社会科学分野の防災研究の成果を一元的に提供するデータベースを構築するとともに、大学等の防災研究の成果の展開を図り、地域の防災・減災対策への研究成果の活用を促進する。地方公共団体の防災担当者等が現場で必要な防災対策実践手法、地域防災に取り組む研究者・実践者・支援者等の情報を収集・整備・提供し、地域防災対策の実践を支援する。
地域防災対策実践手法と地域の課題・ニーズの収集・整備
全国地域へのアンケート・ヒアリング調査、参加型イベント等により、地域防災対策実践手法と地域防災における課題・ニーズを収集し、それぞれ構造化したうえで、照合する形で整備する。
Webサービスの設計と実装
地域の防災担当者が、地域の自然特性や社会特性、災害リスクを把握しながら、その地域で抱える課題・ニーズから防災対策実践手法や専門家にアクセスできるWebサービスを構築する。