■第三回火山防災授業 「白山の噴火災害」
■講師:金沢大学 酒寄淳史教授、平松良浩教授
白山手取川ジオパーク推進協議会 日比野剛専門員
■オブザーバー:白山市危機管理課、長野県危機管理課、白川村総務課、
岐阜県防災課担当者
■日時: 2016年7月11日9:35~11:25
■場所: 石川県白山市白峰小学校体育館
本プロジェクトで対象としている火山地域の一つ、白山地域の白峰小学校で、7月11日、第三回目の火山防災授業を行いました。白山地域では、火山と人の関わりに関する知識普及が比較的進んでおり、白峰小学校での火山防災授業は、こうした地域の特色を反映した教材活用の実践例として行われています。今回は、1年生から6年生までの全児童33名と担任の各教員の方に加えて、白山に関係する白山市、白川村の防災担当者や、長野県、岐阜県の防災担当者がオブザーバーとして参加しました。
第二回目の授業では、一般的な火山噴火のメカニズムについての説明と実験を行いましたが、今回は児童たちにとって身近な、白山で起こる噴火災害に特化したテーマを扱いました。
金沢大学の酒寄淳史教授が、御嶽山や桜島、雲仙普賢岳などの実際の噴火の映像を示しながら、空から降る噴石と火山灰、地表を流れる溶岩流、火砕流、火山泥流について詳しく説明しました。
サイダーの入ったペットボトルと細かく切ったスポンジを使って、噴石が飛び出す仕組みを示す実験も行いました。ペットボトルの口に噴石に見立てたスポンジをつめ、ペットボトルの内部に超音波洗浄機で振動を与えると、勢いよくスポンジが飛び出し、周りに飛び散る様子が観察されました。
また、ペーパータオルの上に火山灰に見立てた小麦粉をまいた場合は、上に何もまかれていない場合に比べて、水がしみこみにくくなり、小麦粉を含んだ水が下のほうへ流れだす様子を見せて、火山灰が降った後は火山泥流が起こりやすくなることを示しました。
児童たちは、6班に分かれて、白山の立体模型を使った実験を行いました。白峰小学校などの位置を示す印をつけたり、噴石の飛んでくる範囲を書き込んだりした後、火口の場所から、赤く色をつけた水をスポイトで流し、火山泥流がどのようなルートを通って流れ、どこまで到達するかを観察しました。この実験で、色水が白峰小学校の位置まで到達するケースが多く、児童たちは驚いていました。
白山地域では、積雪期に噴火が起こると、大量の雪が火砕流などの熱によって融け、泥流となって押し寄せる「融雪型火山泥流」が発生し、居住地まで到達する可能性があると考えられています。
児童たちは、自分達の手で実験を行って、白山で実際に起こりうる噴火災害の様子を実感していたようでした。