臨床環境学の手法を応用した 火山防災における 課題解決の開発

地域防災対策支援研究プロジェクト

プロフィール

臨床環境学の手法を応用した火山防災における課題解決法の開発

課題名

臨床環境学の手法を応用した
火山防災における
課題解決法の開発

地域名

岐阜県、長野県、石川県

団体名称

名古屋大学大学院環境学研究科

代表者名

山岡耕春(名古屋大学・地震火山研究センター)

参画者名

  • 中村秀規(名古屋大学・持続的共発展教育研究センター)
  • 杉下尚(岐阜県 山岳遭難・火山対策室長)
  • 平松良浩(金沢大学・教授)
  • 大見士朗(京都大学・准教授)

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2016年12月9日 御嶽山火山防災 地域学習会・意見交換会を開催しました


■御嶽山火山防災 地域学習会・意見交換会

■日時:2016129

■場所:長野県木曽町 木曽福島会館

■講師:河野まゆ子氏(JTB総合研究所)

 

  今年度最後の地域学習会・意見交換会となった御嶽山のワークショップには、行政防災担当者及び建設砂防部局、気象台、警察、消防等の火山防災協議会メンバーの他、関係自治体の観光部局や教育部局、地域おこし協力隊、山小屋関係者、山岳パトロール関係者、NPO法人等の地域関係者が多数参加しました。今回も参加者数が50名にのぼる盛会となりました。前半の学習会は一般にも公開しており、10名ほどの一般参加がありました。



  午前中の学習会では、JTB総合研究所河野まゆ子氏に“防災+α”の観光危機管理対策のススメ~観光客と観光地を守るために重要な情報“と”需要回復“~という演題でご講演いただきました。河野氏は、内閣府の噴火時等の避難計画の手引き作成委員会委員や中央防災会議・火山防災対策推進ワーキンググループ委員を務めておられ、火山防災と観光双方に造詣の深い方です。ご講演の冒頭で、観光は余裕がある時にする不要不急なものであるため、何かあったときには需要の減退や風評被害が起こりがちであり、観光という産業は危機に対して脆弱な構造があることを指摘されました。その上で地震、津波等の災害後の観光への影響とその後の需要回復の様子や観光危機対策について国内外の事例を紹介され、安全・安心な観光地として持続的に発展するためには、観光客の安全確保、救護だけでなく、観光客の帰宅支援や危機後の観光復興の道筋を準備しておく必要があること、そうした備えとしての観光危機管理計画策定のステップと具体例をお話されました。また、危機後の観光復興の実例として、熊本地震後の九州の各観光地のプロモーションの事例を紹介され、プロモーションのタイミングやマーケティング計画についてもお話されました。火山噴火という災害の特徴や御嶽山地域の観光復興についての具体的な提案など地域に即した話題にもふれられました。2014年の噴火を経験した御嶽山地域では、登山者に対する安全対策と観光の需要回復が大きな課題となっており、参加者にとって非常に示唆に富むお話でした。



  午後の意見交換会では、7-8人ずつの6つのグループに分かれ、山小屋関係者や山岳パトロール関係者等の地域関係者に御嶽山の観光/くらしと火山防災についての意見を伺い、その解決案に向けて意見交換しました。観光の現状については、山頂に行くことが出来ない影響が大きく、7割観光客が減りなかなか回復の現状が見られない、登山客だけでなくスキー客も減少した、団体客が減少したという声が上がっていました。観光の復興案として今ある資源でどれだけの取り組みができるか考える、リピーター作りの仕組みを考える等の意見が出る一方で、まだ行方不明者が残っているのに大々的に観光復興できるのか、躊躇するとの意見もありました。また、復旧復興期の情報発信の課題として、御嶽山の復興の取り組みの報道は長野県内に限られ、登山者の多い中京圏に発信されていないということが挙げられました。ステークホルダーが加わることで、噴火後の観光の現状を知り、今後について意見交換することができました。また、緊急対応期の情報発信について、山小屋に問い合わせが殺到し、情報伝達機能が麻痺した噴火時の経験から、緊急時、情報伝達の別ルートの確保が必要との意見が出ていました。噴火時の避難活動の経験者が参加することにより実際に現場で起こった問題を知ることができました。山頂まで行けるようにするには、行政と山小屋関係者が協力して安全対策を講じることが必要であり、今回のような意見交換会を行うなど、行政、関係機関と民間がつながりを強めていくことが必要ということも議論されました。