■第五回火山防災授業 「白山フィールド学習」
■講師:金沢大学 酒寄淳史 教授、青木賢人 准教授、平松良浩 教授
白山手取川ジオパーク推進協議会 日比野剛 専門員
金沢河川国道事務所 高橋至 流域対策課長
金沢地方気象台 宝田司 火山防災官、山下光信 防災管理官
■オブザーバー:石川県危機対策課 高橋優太
■参加者:白峰小学校 教員6名 児童30名
■日時:2016年8月3日
第五回目となる白峰小学校の火山防災授業は、実際に白山の現場を見るフィールド学習でした。
やや厚い雲がかかる山を見ながら9時に白峰小学校を白山市のマイクロバス2台に乗り、出発しました。途中、昭和9年の大水害による土石流で流れ出た百万貫の岩を横目に見て、市ノ瀬ビジターセンターに到着しました。市ノ瀬ビジターセンターでは天井に展示された山頂からのパノラマ写真を見ながら山頂付近の火山活動について振り返り、床に印刷された衛星写真で白峰小学校や市ノ瀬ビジターセンター、白山山頂の位置関係を確認しました。
市ノ瀬ビジターセンターからは砂防工事専用道路を通り、中飯場まで移動しました。猿壁付近の河原では、金沢大学の酒寄教授の指導で白山の火山噴出物である安山岩探しを行いました。白山の土台を成している1億3千万年前の石の観察を行い、爪石とよばれる貝の化石の入った石や植物化石の入った石もたくさん見つけることができました。また、金沢河川国道事務所の高橋流域対策課長による砂防堰堤についての解説があり、「土砂をためる」、「川の勾配を緩くする」、「斜面を安定させる」の3つの機能があることを学習し、土石流センサーの役割についても学びました。
次に、細谷第4号砂防堰堤付近にて高橋流域対策課長から柳谷の砂防工事の全体像の説明があり、尾根全体が地すべりをしていること、またその対策として深いトンネルが掘られていることを学習しました。この場所からは昨年度の白山登山で渡った吊り橋が遠目に見ることができ、そのときの様子を思い出した児童も多くいました。その後、白山の登山口である別当出合に移動し、下山してきた登山者が見守る中で昼食をとりました。
午後は中飯場に移動して溶岩の観察や火山活動観測計器の見学を行いました。別当谷側では昭和9年の大水害のときの崩壊地などを観察し、白山手取川ジオパーク推進室の日比野さんから、そこに表れている白山の土台をなす手取層と尾根の表層部にある溶岩の形状の違いを学びました。柳谷側では酒寄教授から不動滝溶岩の柱状節理の解説があり、金沢大学の青木准教授と一緒に尾根の上に溶岩があることから昔の地形がどう変化して現在の地形になったのか考えました。
また、金沢地方気象台の宝田火山防災官と山下防災管理官、金沢大学の平松教授の案内で、中飯場にある気象庁の観測施設の空振計や地震計を見学し、ここで得られたデータが東京まで送られて24時間体制で白山の火山活動が監視されていることや地震計の記録から人が近くを歩いていることや車が通ることも分かることを学びました。
丸1日のフィールド学習で最後の方は児童たちには疲れた様子も見られましたが、昨年度の白山登山で同じ景色を見たときには気づかなかったことがたくさん学習でき、白山火山についての理解がより深まったようでした。