■白山・手取川ジオパーク見学会
■講師:金沢大学 酒寄淳史 教授、平松良浩 教授
白山手取川ジオパーク推進協議会 中田悟 事務局長
白山手取川ジオパーク 廣瀬修 学習支援員
金沢地方気象台 川本直樹 防災業務係長、宝田司 火山防災官
■オブザーバー:文部科学省防災課学術津推進室 田中大和 室長補佐
防災科学技術研究所 三浦伸也 主幹研究員、半田信之 研究員
■日時:2016年9月17日
2016年9月17日、白山・手取川ジオパーク見学会を行いました。本プロジェクトの対象地域の一つである白山地域では、石川県側が白山手取川ジオパークに認定されており、火山防災の基礎となる人と火山の関わりに対する理解が比較的進んでいます。このジオパーク見学会は、白山地域で実践されている火山に関する教育普及の取り組みを見学し、それぞれの地域の火山防災に生かすことを目的に、行なわれたものです。白山地域に関わる石川県、白山市の防災行政担当者の他、岐阜県、長野県の行政防災担当者や下呂市小坂地区(御嶽山)のジオパーク認定準備委員会のメンバーなど計20名が参加しました。
当日は、マイクロバスで8時に金沢駅を出発、曇り空の中、森本・富樫断層帯を横目に見て、白山手取川ジオパークの中田事務局長、廣瀬氏、金沢大学の平松教授、酒寄教授の説明を聞きながら、白山登山の玄関口である市ノ瀬に向かいました。市ノ瀬ビジターセンターでは天井に展示された山頂からのパノラマ写真や床に印刷された衛星写真で地形を見て、噴火時の溶岩や火砕流、噴石、融雪型火山泥流のそれぞれの到達範囲の確認をしました。
市ノ瀬ビジターセンターからは砂防工事専用道路を通り、中飯場まで移動し、別当谷側で、別当大崩の跡と砂防堰堤を見学しました。平松教授から別当大崩の解説と、砂防堰堤の役割についての解説がありました。また、柳谷側へ移動し、不動滝と柳谷道流落差工、不動滝溶岩の柱状節理を見学しました。酒寄教授から柱状節理のでき方やなぜ、尾根の上に溶岩があるのか、どのようにして現在の地形ができたのかについて解説がありました。
また、金沢地方気象台の川本防災業務係長、宝田火山防災官と金沢大学の平松教授の案内で、中飯場にある気象庁の観測施設の空振計や地震計を見学しました。参加者からは冬季の機器の管理や、想定火口からの距離について質問が出ていました。一時、激しい雨に見舞われましたが、登山口の別当出合に立ち寄り、頂上の天候に関する表示や登山届に関する表示などを視察しました。
その後、白峰地区へ向かう途中で、百万貫の岩を見学しました。白山・手取川ジオパークの中田事務局長と廣瀬学習支援員から、昭和9年の大洪水で流出した岩石で、実際に百万貫以上の重さ(129万貫、約4800トン)があることや、転がってきたのではなく、土石流の上に浮き上がってゆれながら移動してきたらしいことなどの説明がありました。これ以外にもかなり大きな岩石が川原に点在しており、先に見学した別当大崩とともに当時の災害の激しさを物語っていました。
一行は、白峰地区で、地元の特産品を使った昼食をとりました。白峰地区には、本プロジェクトで火山防災授業が行われた白峰小学校があります。町並みも国選定重要伝統的建造物群保存地区に指定されており、ジオパークのビュースポットのひとつとなっています。昼食後はさらに手取川を下り、不老橋にて、中田事務局長の案内で、手取峡谷、ポットホールなど、自然が作った奇観を見学しました。
その後、鶴来のまちなかに立ち寄った後、手取川の霞堤を見学し、平松教授、酒寄教授、中田事務局長の解説で、水害の影響を和らげる先人の知恵を学びました。 最後に手取川河口付近の美川の白山伏流水群を見学し、白山の水の恵みを味わいました。
白山・手取川ジオパークの多くのスポットを一日でまわるハードな見学会でしたが、ジオパークとしての整備や展示の仕方、それらを防災教育にどう活かすかについて、他地域からの参加者にとって大いに参考になったようでした。